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2015.03.26
 月島区民館 
【資 料】
レジュメ
ラスト・プランニングノート
AERA紹介記事
「エンディングノートの書き方とマンション居住の最期の迎え方」
講師:ファイナンシャルプランナー(マンション管理士) 久保 克裕氏

エンディングノートの書き方とマンション居住の最期の迎え方

講師:マンション管理士・ファイナンシャルプランナー 久保 克裕 氏

 第34回勉強会は、約20名の参加があり、恒例の出席者の簡単な自己紹介の後、「エンディングノートの書き方とマンション居住の最期の迎え方」として、第20回勉強会「マンションコミュニティの歴史を考える」でマンション管理士としてゲスト参加された久保克裕氏に、今回はファイナンシャルプランナーの立場で、ファイナンシャルプランナーの作成したエンディングノート「ラスト・プラニングノートの書き方」を、実際にノートを使う演習も含めながら解説していただきました。

 昨年のアンケートでは60才以上の人で「エンディングノート」を知っているという人は約50%、実際に書いたことのある人は全体では1.3〜1.4%、60才以上では7%程度とまだ少ない。

1、最近の相続事情
 日本は長寿国になっており、昨年のデータでは100才以上は約58,000人。その9割が女性となっている。
 3年前に「終活」という言葉が流行語大賞にノミネートされ、エンディングノートが知れ渡った。遺言(公正証書)の作成状況としては、平成9年に52,000件、平成22年では82,000件、平成25年では96,000件へと増加傾向にある。
 子供の希望は、ある程度財産を残して、晩年にボケないで生活して欲しいということ。
 認知症患者は現在460万人、85才以上の4人に1人は認知症と言われ、コミュニケーションをとるのも難しくなっている。

2.エンディングノートの必要性
 死後の始末は自分では不可能。遺言の作成は普通の人には簡単ではない。エンディングノートにより、次世代へのスムーズなバトンタッチができ、人生を悔いなく生きるための手助けになり、遺言作成も短時間でできるようになる。

3.エンディングノートの構成
 どのエンディングノートでも構成はほとんど同じで、一般的には「自分史」、「財産目録」、「終末期の情報」ということで、本屋に行くと20種類位出ている。名前も「もしもノート」、「自分ノート」、「未来ノート」などいろいろついている。
 今日紹介する「ラスト・プラニングノート」はファイナンシャルプランナーが作ったエンディングノートであり、内容的には多少偏りはあるものの同じ三部構成で「ライフプランのページ」、「資産のページ」、「ラストプランのページ」となっている、30ページほどの薄くて書き易いもの。

4.死ぬ時に後悔すること
 医師の大津秀一先生の著書「死ぬ時に後悔すること25」から、今日は時間の関係で15項目(レジメ参照)を抜粋した。ご自身で現在幾つ該当するかチェックしてください。若い方は一般的に3項目以下が多く、年齢が上がってくると7項目以上、8項目という方が増えてくる。今日参加された方は、該当した項目が比較的少ないようなので、充実した人生を送られている方が多いと感じる。

 ノートの説明と作成演習に移り、教材の「ラスト・プラニングノート」の実物をもとに冊子の構成に従い、内容、コラム記事、作成のポイントについて実際の記入作業や受講者同士の意見交換、対話を交えながら細かく解説していただいた。
 「書けるところから書く」ことと、自分に合ったノートを選ぶことがポイント。自分でアレンジしてパソコンを使ってフォームを作り作成、更新して行くこともできる。これからは、一度書いても書きなおす機会が増えると思われる。自分を見直す機会にするという使い方もできるので活用して欲しい。レジュメの「生きるのが楽しくなる15の習慣」「老いる7つの力」を参考にしてください。

 マンションの終活に関連して、最近の相談で多い、認知症の例に絞って話していただいた。
 最近では60才以上の世帯主が5割を超えている現実と孤独死の問題もあり、今後のマンション生活において認知症の問題は避けて通れない。
 認知症の方が起こす問題として、「ごみの分別ができない」、「自室がわからなくなる」、「漏水、火災の原因になる」などという相談を多数受けた。
 医療、福祉の専門家ではないので最終的には行政の高齢福祉の窓口に相談するよう誘導したが、最近、認知症の方の気持ちがわかり必要なケアができるよう勉強をしている。
 住民同士の助け合いのほか、地域包括支援センターとの連携も重要。高齢者、認知症患者を理解することが必要で、ケアを行っていくには、居住者台帳を、特に一人住まいの高齢者に関しては整備しておきたい。緊急連絡先の他、かかりつけの病院や常用薬についての情報も必要。

 以上で講演を終え、意見交換等に移った。

Q1.高経年マンションで居住者が高齢化し、認知症を患っているような場合の一票の取扱いをどうしたらよいか。
A1.相続予定者に一緒に総会に参加してもらうなど、本人が亡くなる前から対処する必要。

Q2.亡くなった人の所得税の申告が4ヵ月以内に必要だというのは大変だがどう考えればよいのか。
A2.高齢者の年金所得などに関する所得税については、そもそも課税されることが少ないため、細かく考えなくてもよい。逆に、厚生年金受給者の場合は払った税金が還付されることもある。

Q3.居住者名簿について、防災会で作っている。個人の情報について、法律では「本人の同意があれば」利用できるが認知症で同意が得られないときどうすればよいか。
A3.判断のできなくなった高齢者に取り入って、多額の金銭を搾取する事例が多くある。1人暮らしで親族との連絡を取りにくいなどの状況で必要と思われる人には、市区町村の長の申請で成年後見人をつけるなどの対応が必要。

事例:居住者名簿の事例として、名称を「安心登録カード」として、101戸のマンションでほぼ100%回収し、高齢者1人暮らしの世帯を把握し、区報を管理員に月2回手渡してもらうなどのケアを行っているというケースの紹介。
意見:マンション管理センターで公表している「名簿の取扱細則」を参考にするとよい。

事例:名簿作成について、ほぼ全居住者の氏名、生年月日、緊急連絡先等を把握し毎年更新しているという事例。個人情報保護法はデータを集めることは規制しておらず、その取扱を規制している。5000人を超える管理組合も少なくほとんどは法規制の対象外。

意見:民生委員の集める名簿(法令で3年に1回)も出さない、表札も出さないという人が多く居るのも実態。
意見:名簿については最後は個別訪問で説得するしかない。

意見:公団の管理員の経験から、認知症患者の場合、本人が認めず、親族も協力してもらえないで、支援がしたくてもできないのが現実。

事例:認知症の居住者が、台所のシンクでたき火をし火事を起こしたことで、親族の了解と身元引受をしてもらい退居してもらった事例

などの意見、質問があった。最後に廣田代表の次回勉強会の紹介で、本日の勉強会を終了した。
               
講演の模様