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2014.09.25 月島区民館 |
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高齢者の生活を支援するために「成年後見人制度」を活用する 1.高齢者の生活を支える「成年後見制度」 2.成年後見制度を学ぶ 認定NPO法人 東葛市民後見人の会 理事:松原尚明氏(マンション管理士・防災士) 理事:青木敏郎氏(CFP(日本FP協会認定)・1級ファイナンシャル プランニング技能士) |
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資料1: 「後見人制度」を学ぶ 資料2:1.高齢者の生活を支える「成年後見制度」/2.成年後見制度を学ぶ |
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2014.9.25 月島区民館 高齢者の生活を支援するために 「成年後見人制度」を活用する 講師:認定NPO法人東葛市民後見人の会 常務理事 松原 尚明 氏 専務理事 青木 敏郎 氏 第30回勉強会は、約30名の出席者の簡単な自己紹介の後、「高齢者の生活を支援するために『成年後見人制度』を活用する」として、東葛市民後見人の会のメンバーとして成年後見人としての活動に取り組んでおられる松原尚明氏と青木敏郎氏をお迎えし、松原氏には「高齢者の生活を支える『成年後見制度』」と題し、また青木氏には「成年後見制度を学ぶ」と題しでお話をいただいた。 松原氏の講演:「高齢者の生活を支える『成年後見制度』」 マンションに住んでいて子どもが成長し老夫婦だけが残り、これに認知証が現われてきたとき、このような家庭をどのように見守るかは管理組合にとって悩ましい問題になっている。ハードの面はそれなりに形ができているが、人の問題はケースバイケース、ということでこの問題に興味を持った。現在の日本は全人口のうち65歳以上の人が23.3%を占める「超高齢化社会」に突入している。2060年になると65歳以上の人は人口の40%、2.5人に1人となっていく予想である。 成年後見制度は2012年の民法の抜本的な改正で、従来の禁治産制度に替わり制度化された。戸籍にも記載されなくなり、東京法務局で全国一括管理し、関係者以外には見せないようになっている。介護保険の開始で従来は「措置」の考え方で行政が行っていた高齢者サービスが「契約」の考え方になった。同様に、従来は民法の禁治産、準禁治産の制度で「保護」していて、保護するのは配偶者と決まっていたが、成年後見制度で「契約」という考え方になり、配偶者でなくてもできるようになった。 成年後見制度で、「成年後見」「補佐」「補助」という3つの段階を持つ制度ができた。理念は「自己決定権の尊重」「残存能力の活用」「ノーマライゼーション」で、ノーマライゼーションとは障害を持っていても通常の生活が可能なようにということを基本にしている。 普通の家庭では、親族が後見人になれるが、親族のいない人などのために市長申立で後見人を選定し付けるという制度ができた。現在は10数%だが、今後この制度の利用は増えていくと考えられる。 現在、日本に後見制度の必要な人がどの程度いるかというと、認知症高齢者が推計で462万人、知的障害者は手帳を持つ人が55万人、精神障害者が同様に323万人で、840万人が対象になり、これは人口の6.6%に上る。では、実際に成年後見制度を利用したのは初年度ではわずか9,007件で、平成25年度は34,548件になった。 平成23年度に、親族でない第3者後見人が親族後見人を上回るようになっている。類型では、成年後見が85%、保佐が15%、一番軽い補助類型は5%と少なくなっているが、これは後見が必要な程症状が進んでからこの制度を利用することが多いからと考えられる。数からみて徐々に成年後見制度が社会に浸透してきていると言える。 成年後見制度には法定後見と任意後見があるが、ここでは任意後見について解説する。任意後見はあとでとりあげられることが多いが、あるべきは、判断能力が落ちる前に任意後見の契約をしておき、数年後判断能力が落ちた時に後見に入っていくことだと考えるので。任意後見の契約は相対では駄目で必ず公証人が契約書を作り東京法務局に登記することで成立、数年後、判断能力が落ちてきたときに任意後見受任者が家庭裁判所に申立し、家庭裁判所が任意後見監督人を選任し登記することで後見が開始となる。 任意後見人の行う事務は、介護を行うのではなく、契約業務が対象。預金の受払、有価証券の売却、都度家庭裁判所の承認は必要だが不動産の売却までと強い権限を持っている。結婚や遺言など一身専属権には権限は及ばない。任意後見人の報酬は相対で自由に決められて後見開始後に適用される。後見監督人の報酬は家庭裁判所が決定し、それぞれ本人の財産から支払われる。後見監督人の職務は、後見人と家庭裁判所の間に立って、主に財産管理などの監督をすることと、急な対応が必要な時に後見人の代理権の範囲で対応すること、もう一つは、相続問題など本人と後見人とが利益相反となる場合に本人を代理すること。後見監督人を置くと家庭裁判所が直接後見人に物を言うことはない。 任意後見契約が終了するのは本人、後見人、後見受任者が死亡した場合、破産した場合。また、後見開始前(後見監督人選任前)の公証人の認証をうけた書面による任意解除がある。後見監督人の選任後は正当な理由がある場合家庭裁判所の許可を得て解除することになる。また、不正行為を行った等で本人等からの請求があった場合、家庭裁判所は任意後見人を解任することができる。この場合、解任された者は再度後見人になることはできない。任意後見契約で十分な支援ができない場合には法定後見に移行する場合があり、この場合も任意後見は終了する。法定後見と任意後見では任意後見が一般的に優先する、例外として代理権が漏れている場合等法定後見が優先することがある。 任意後見の利用の仕方には@将来型、A即効型、B移行型の3つの形態がある。「将来型」は本人が健常うちに契約をしておき、本人の判断力の低下した時点で支援を開始する形態。「即効型」は認知症が軽度な時期に任意後見契約をし、あまり時期を置かず後見監督人の選任を申立てて支援を開始する形態。法定後見人の選任も可能だがこの方が通りやすい。「移行型」は一般的に普及している形態。任意後見契約に加え「見守り契約」「任意代理契約」「死後事務委任契約」を結び、本人が健常な時には「見守り契約」(月に何度か訪問する)、「任意代理契約」はお金の出し入れなどを必要により代理で行うこと。死後事務委任契約を結ぶのは、後見制度に「死後」が想定されてないための対応。成年後見制度では契約が本人の死亡で終了、財産は相続人のものになり後見人は本人の財産に手を出せなくなるので、関係者は本人が死亡すると困ってしまうために、これを避けるために死後事務委任契約を結んでおくとこれは本人が死亡しても有効になる。死後事務委任契約については時間があればあとで解説を予定している。 青木氏の講演 「成年後見制度を学ぶ」 介護保険制度の制定に合わせ、認知症の高齢者が介護の契約を結べるよう、成年後見人制度が制定された。現在は成年後見人の利用はまだ少なく暫定的に家族でも契約ができている。高齢化と少子化の進行で社会保障の費用が膨らんでいる。経済環境の変化、家族形態の変化で高齢者の面倒をみられなくなっている。高齢者が詐欺などの被害に会うケースもあり、認知症の高齢者を保護するために成年後見人制度が利用される。 成年後見人申立のきっかけは、介護保険契約や預貯金の管理、不動産の処分などで、必要に迫られ、あわてて申立するケースが多い。預貯金の管理が複数回答ながら40%に上る。高齢者の経済的、または身体的被害も多く、それぞれ親族から受けることも多くなっており、後見制度の必要性の背景になっている。 成年後見制度は介護保険制度と車の両輪と言えるもので、本人に判断能力がない場合、契約には後見人をつける必要があるが、現実には親族ができるようになっているので、後見人制度が浸透しない要因にもなっている。 民法858条に記されている通り、成年後見人は「成年被後見人の生活、療養看護及び財産に関する事務を行う」というもので、「事務」とは契約を行うこと。たとえばヘルパーさんをつける時にその契約をするのが成年後見人の職務でヘルパーさんの仕事をするのが職務ではない。 本人のために何がよいのか考えて一番よい契約をするのが看護についての事務で後見人の役割。そのためには本人の意思を尊重しなければならない。民法が改正される前は禁治産で財産の管理に特化し身上看護は配偶者の役割だったもの、これが、後見人制度になった。 法定後見の類型として「後見」「保佐」「補助」があり、「後見」は日常的な買い物もできない程度、「保佐」は日常的な買い物はできても、大きい契約は補佐人がいないとできないもの。「補助」は大体のことはできるがそれでも不安があるという程度というもの。 主な身上監護事務は、介護契約、施設入所契約、医療契約で医療に関しては特に手術などには本人の意思を尊重する必要がある。各契約について後見人の職務は契約、契約内容の監視、履行の確認、苦情申立で介護そのものを行うわけではないので誤解しないように。 主な財産管理事務としては、預貯金の管理、保険の管理、不動産の管理など本人の財産管理で旧法からあったもの。預貯金の管理では銀行預金の名義も後見が始まると本人と後見人の名前が併記され本人では引き出せなくなり後見人が取引できるようになる。 後見が始まる時には後見人として申立の時とは別に(申立人と後見人とは異なるので)本人の財産がどれくらいあるか調べなければならないが、実態がわからない場合もありその場合は本人の家に行って預金通帳や郵便物などを調べなければならないが、その際には後見人1人でではなく親族等に立ち会ってもらい不正の無いことを示すようにしている。そして変化があれば裁判所に報告を要する。保険関係では、たとえば医療保険では給付がどうなっているのかの確認とか、契約の更新の頻度の確認とか、保険料の支払いとかの事務がある。 不動産関係では後見人がオールマイティにはなるが、本人居住用の不動産は賃貸も含み、処分や変更には裁判所の許可が必要。事業用不動産ならば後見人の判断で処分できる。相続関係については本人の遺言は後見できる事項ではないので、一般的には本人が相続を受ける時が対象で、本人が不利にならないようにする必要。 次に、成年後見ではその型式に法定後見と任意後見があり、法定後見では後見、保佐、補助の3つの類型があるのは前述の通り。認知症が進行している場合は後見類型になる。後見を受ける本人は成年被後見人、後見をする人が成年後見人といわれ、ケースによって成年後見監督人が付くことがある。監督人がつくかどうかは後見人の経験や後見人が専門職(弁護士や司法書士)かどうかなどの状況をもとに家庭裁判所が判断するが、報酬額も含め本人(被後見人)の持つ金融財産総額で判断しているという側面もある。現実には市民後見人として受けているのは、生活保護者や障害年金で生活している人など本人の財産が少ないケースが多い。 代理権、同意権、取消権について注意が必要で、成年後見人には代理権、取消権を付与されているが、保佐人の同意権、取消権については重要な財産行為(民法13条1項)については付与されているが他は付与の申立が必要、代理権については申立が必要。補助人については代理権、同意権、取消権についてはもともと持ってなく申立が必要。 注意が必要なのは任意後見人で、契約した代理権のみ持っていて取消権を持っていないこと。任意後見で取消権が必要になった場合には法定後見に切り替えることも検討が必要。重要な財産行為に相続や贈与を受けることが入っているが、これは、債務などの負担が付いていて本人が不利になることを防ぐため。詳細は法定後見制度(まとめ)の表を参照。 申立については、相談窓口は自治体や専門職、地域包括センター、社会福祉協議会、市民後見人など種々設けられている。申立書の作成が必要で申立人の範囲は本人の4親等内親族など決められており、市区町村長の申立も認められているが、自治体の予算の状況などで取組みの差が見られる。必要な書類には、申立書の他に親族後見人を候補とする場合候補者の身上書が必要。費用等は資料記載のとおり。 任意後見制度については前述のとおりで、将来型、移行型、即効型と種類がある。本来、移行型は理想的だが、本人の認知症進行で本来監督人を付けることが必要になっても付けず不正を行うことがあること。また、任意後見制度では、友人など本人と同世代の人を後見人の候補者としておくと本人より先に倒れて困る可能性があること。申立てから支援開始までの流れは資料のとおり。 後見人として、親族後見人は昨年で42.2%、初めて半数を切った。親族以外の第3者が後見人に選任されたケースでは司法書士が7,295件と最も多く、弁護士などが続いている。申立人は子が多く、全体の32%位、次いで市区町村長。 最後に松原氏から、後見制度が終了した後の課題について解説があり公演を終了 Q.管理組合の総会で議決権を行使することは可能か? A.本人の財産に関わることで、本人の意思に関わらず代理権で行使可能と思う。 Q.資料の表で任意後見の件数が非常に少ないが理由があるのか? A.成年後見制度が十分浸透しておらず、本人の認知症が進み必要に迫られて法定後見制度を利用することが多く、その時には本人の意思が通らないため。 Q.11ページの表の後見人件数のグラフの「その他法人」とは? A.専門職以外の法人で、個人ではなく法人で後見人を引き受ける場合で、講師の両氏が加入されているNPO法人も含まれている。 Q.任意後見で友人などを選択した場合、その方が亡くなると困るが、防ぐ方法は? A.一般に、若い人を選択すること。NPO法人など法人を選ぶ方が安全性が高いと思う。委託された法人が解散している場合には、別の法人が引き継ぐか法定後見に移行することが考えられる。 |
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松原氏 講演の模様 | |||||||
青木氏 講演の模様 | |||||||
質疑応答の模様 |