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2013.09.19 月島区民館 |
・ ・ マンションの魅力はもっとツクれる、伝えられる |
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講 師:東邦レオ(株)吉田 啓助氏 |
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資料 | |||||||
第22回勉強会は、恒例の出席者の簡単な自己紹介を行った後、高経年団地のコミュニティ活性化について、緑化事業を通じてマンション管理をサポートされている吉田啓助氏をお迎えし、自身で購入された中古マンションのリノベーションからはじまったコミュニティ活動の経験も含めてお話しいただいた。 本日のテーマ「1.高経年団地活性化のポイント」「2.世代が循環するサスティナブルマンションに必要なこと」については最後に触れることとして、 先ず中古不動産市場の話から。以前は「家選び」は「条件のよい新築選び」と考えられていたが、 (1)リノベーション(部屋の中を作り替える)技術の進歩、 (2)子育て世代の抵抗感の低下、 (3)安価で優良な物件が多い、 という理由から、今、中古住宅市場が注目を浴びている。 吉田氏自身が出演された中古不動産市場を取り上げたテレビニュースのDVD上映の後、今年5月から住まわれている、現在の自宅「ハイタウン塩浜」を住みたいと思って購入された理由に触れられた。 リーズナブルで人生デザインに合致したこと、子育てに必要な条件がそろっていたこと、今そのマンションに住んでいる人たちに惹かれたことがその理由であったが、家族の抵抗もありそれを事前にハイタウン塩浜に住む人と接する機会をつくることで乗り越えられたことを話された。 実際に買い、住んでみて中古マンションの持つ課題が見えてきた。 それは、 (1)不動産を仲介する際に管理状況や実際に行われている生活のことが伝わらない(魅力があて絵も伝わらない)こと、 (2)若い人が本当に少ないこと(不安になる)、 (3)オープンであっても運営がクローズに見えてしまう(同じメンバーで運営してしまう、新しい人は入りづらい)、ということです。 そこで吉田家独自にこの課題に取り組まれている内容です。 まずは (1)吉田家のオープンハウスで、子育て世代の人に「中古+リノベーション」の良さ、ハイタウン塩浜の良さを知ってもらい、できれば住んでもらうことを考えた。 30名以上の参加者があり、そのうち80%位が30代だった。 理事長、自治会長も来てくれて非常に良い反響だった。 次に、(2)自治会に参加し若い人が運営に関われるように努力している。 また現在調整中ですが(3)ママ友との連携によるハイタウンブログを作り、子育て世代からの継続的な情報発信で母親にも安心してもらえるようにしようと考えている。 そして、ハイタウン塩浜のプロモーションビデオを勝手に作成したということで上映。ハイタウン塩浜の「魅力」を発信できるように努めている。 マンションとして、「魅力」を「伝える」努力をしている事例として、マンションコミュニティ研究会フォーラムでも発表のあった京都の西京極大門ハイツでは、管理組合が部屋を買い取り、適正価格を維持する仕組み、仲介業者が購入者に魅力を伝えられるようツールを作り販売する仕組み、を導入し子育て世代の呼び込みにも成功しているという例がある。 また千葉みなとの築8年の「ブラウシア」というマンションでは「ウエルカムガイドブック」を作成し入居者に説明する機会を設け、居住者への安心感や共同生活をする上でのルールの共有を図っている。 「魅力」のツクり方について、改めてマンションで「魅力」という言葉は「居住価値」と、選ばれるマンションになる「資産価値」が重なり合っている部分だと思う。 中古マンションには、立地や部屋の広さなど変えられないものと、間取りや設備、住んでいる人との関係など変えられるものがあり、その内の変えられる共用部や、地域との連携、コミュニティなどに集中して、そのマンションならではの魅力を創り出せばよい。 とはいえ、資金が潤沢でいろいろ着手できればいいけれど、そうはいかないところでの管理費からの費用の作り出し方を植栽管理を例に説明したいということで、管理手法の見直し、住民参加型のイベント、植え替えの実施例などを説明。 マンションで「やりたいこと」を決めるとお金の使い方も違ってくる。植栽以外でも考え方は同じで、暮らしに関わる優先度を見極め、ムダを省き、かけたいことにコストを掛けて魅力づくりをする、そんな運営が必要と思う。 それでも「変える」ことは難しいこと、「変える」ことを前に進めるために「コミュニティ」は重要。 また、「緑」は「コミュニティ」を形成するのに相性がよいと思う。 最後に本日のテーマ「1.高経年団地活性化のポイント」「2.世代が循環するサスティナブルマンションに必要なこと」について「3つのポイント+1」で説明。 それは、3つのポイントが(1)ツクる(創る、作る)こと、(2)伝えること、(3)変化し続けること(固定化せずオープンであること)で「+1」がコミュニティということ。 自身、一マンションの住人としてマンションをよくしていくよう努力したいということで公演を終えられた。 Q:新しいマンションで広い敷地がある、庭にかかるコストを抑え、ゆくゆくは修繕積立金の財源を作りたいと考えているが、相談はできるか。 A:できます。(あらためて) Q:30代で同じ境遇、入居3年目になるが、入居と同時にマンションを100年もたせるための検討会に参加している。何か行事を行うにも参加者集めに苦労しているがよい方法は A:いま、ママ友の会をそのご主人も参加する会に広げる努力をしている。先日、釣りをやったら新たに参加してくれた方がいた、何か楽しいことから入ればよいと思う。 Q築34年、60歳以上が6割以上多くが住み続けたいという高齢化マンションには、サスティナブルマンションは矛盾するテーマでは A:マンションによって異なると思うが、今まで運営してきた人が抜けてくるようになると、このままで良いのか考えるようになる。各居住者が住みよくしていこうとすることがサスティナブルにつながるのではないか。 感想:高経年マンションに住んでいるが、高齢化した居住者がある時にふと自分達から離れ若い人に住みよくするように、子どもも少ないのに公園を新しくしたり、お祭りに地域の子ども達を呼んでみたり、直面している課題から少し離れたことをやっているところが少しずつ成果を出しているように感じる。 一歩踏み出すと光が見えてくるというのか、若い人のことを考えるようになったマンションはその前より少し元気になったように見える。 (片山 次朗) |
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