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2013.03.28
月島区民館
子育て世代にとってのマンションコミュニティ

マンション管理新聞 編集長 藤代 賢吾氏
副牧師・チャーチプランナー 青柳 聖真氏
フリーアナウンサー     佐々(つがやす)亜紀氏

資料
 「子育て世代にとってのマンションコミュニティ」

 恒例による参加者の簡単な自己紹介から始まった。参加者は30名を超えた。女性が多かったのは当然としても、美しすぎる講師の一人が会場を支配した趣もあった。
 当会の廣田代表がコーディネータ―となり、3人の講師によるミニシンポジウム形式で進められた。

0.コーディネータ― 廣田信子

 「より豊かで安心なマンションライフを形成するには」という視点で、子育ての方々の本音のお話を伺いたい。

1.マンション管理新聞編集長 藤代賢吾 氏

 マンションのコミュニティにどう関わるかは、立地条件や形態等でかなり異なる。
 東京には9割を占める100戸規模以下では、家族形態、年齢等がバランスしていて、リスクや心配事がない。困っていれば助けるのが当たり前でしょう、というムードがある。
 10年前に経験したことだが、自分より明らかに若い人が役員になった時、その前年に横領事件があった。年輩者に役員を任せていたから横領事件が起きたという様に、長老に恥をかかせる訳にはいかない、しょうがないよね、という気持ちからチームワークがとれるようになった。

 今の世代は、情報ソースを知り、ネットワークを持っている。また、気を使っている。 自分がされたら厭だから、相手にもやらないスマートさを持っている。マンション内のコミュニティ作りのために、イベントをやろうという話を良く聞くが、私はそういうのをやらなくても良いと思っている。色々なネットワークがあるから、気が置けない人たちと仲良くなれば良いのではないか。
 目的意識がないと参加意識も生まれない。築年数の古いマンションでは、最近の若い人は参加意識が希薄と聞くが、普段つき合わなくても良いから、いざという時に頼りになれば、目的意識も生まれるのではないか。工夫の仕方が大事だと思う。

2.副牧師・チャーチプランター 青柳聖真 氏

 現在、超高層マンションに住み、4人の子供がいる。7年間アメリカで牧師の修行を積み、日本に帰って2年、チャーチプランター(教会開拓者)の仕事をしている。

 アメリカでは、アパートに住んでいた頃、気軽に自宅に招待されるし、子供を預け合う。それもワイアレスマイクで子供の声が聞こえるので、預けても安心という工夫までしてくれた。
 
 一緒に住むってこんなことができるんだということを経験した。

 学校卒業後は戸建てに住んだ。フロントヤードのある所で、庭の手入れや夕涼み時のバーベキューで会話が生まれる。皆で集まって、前の通りを歩行者天国(ブロックパーティ)にしてしまう。一緒に住む楽しさを味わった。ニューヨークの高層マンションでは難しいだろうが…。

 日本のコミュニティは良くなる可能性があるのではないか、という期待を持って帰国した。子育てサークル、サッカーパパ等同じような人たちが、近くに住んでいるとコミュニティが作りやすい。そういう接点がないと難しくなるし、住んでいることが窮屈(苦痛)になる。

 マンションでの孤立は接点が見つからないからであろう。しかし2013年に生きていることだけでも接点だろう。多様性の時代だからこそ、興味を持って集まってくるのではないか。震災復興の支援も行っているが、コミュニティある地域とない地域では、復興の度合いが違っている。

 ホームパーティの呼びかけをした。3軒集まったが、残りの4軒は「声を掛けて頂きうれしい」と挨拶があった。子供が幼稚園から帰っても不在だった時、近所の人が声を掛けてくれた。共通項がなくても、日本でもやれるのだなぁと感じた。勇気が要るけれど、声を掛けたことからつき合いが始まる。

3.フリーアナウンサー 佐々(つがやす)亜紀 氏

 豊洲の築5年、7棟、980戸のマンションに住んでいる。1階にはクリニック、託児所等がある。このマンションを選んだ理由は託児所があったから。

 マンションに住んで感じたことは、隣近所への気配り、特に騒音問題で、郷里からのじゃがいもを下階に持って行って挨拶したりもした。

 しかし、大きなメリットは、友人との交流のしやすさである。
 子供の預け合い、おかずを持ち寄って夕食を共にする、子供を風呂に入れる、など有難いシステムが出来上がっているようなものである。また、ラウンジ等の共用施設が使えることもある。

 幹事持ち回りの「ママ会」がある。弁当を注文し会話をする。子育てママがいれば誰でも声を掛ける。才能あるママが多いなぁと感じた。
 そういう中で、親子クラブ「COCO COLOR」を立ち上げた。先生をやってもらっている。今は英語と工作をテーマにしている。一人一人の個性を大切に、色とりどりの未来を「ココカラ」、子供とお母さんの新しいつながりを育てる場所、これがコンセプトのようだ。

 しかし、課題もある。シニアも住んでいる。ママだけが固まっていては良くない。シニアの話も聞きたい。近所の単身老人におかずの余りを持って行ったり、子供もなつき、子供を見てもらえるといいなと思っている。腹を割って話せば、良いマンションになるのではないか。

4.Q&A

Q:マンションは子育て環境としては良いとの話だが、孤立している例を聞くか?
A:オープンな家庭ばかりではないので、そういう所へは行きにくいが、良い意味でお節介は必要ではないか。共用施設が多いので、知り合うきっかけは多いと思う。

Q:接点を作る秘訣は?
A:挨拶だけでなく、ちょっとした会話をする。

Q:管理組合との関わりがあるのではないか?どういう距離感でつき合ったら良いか?
A:規模によっても違うだろうが、生活ルールを守ることが基本だろう。

Q:若い人は表札を出さない傾向にあるが、自分の周りを見た感想は?
A:半分半分位か。表札が出ていないと名前がわからず、交流ができない。皆で出しましょうという働きかけが必要ではないか。

Q:ママ同士でも年齢の違い、専業主婦、職場復帰を目指している人など、こだわりなくつき合えるか?
A:一歳児まではあまり差がない。その後、幼稚園組、保育園組と別れたりするが、自分の心の持ちようだ。

Q:パパの育児参加度によって、ママのストレスが貯まると言われているが、聞いたことがあるか?
A:現実としてはあるだろうが、パパ同士がつながるとママもつながってくることも事実である。

Q:世代間交流は?
A:挨拶をしない子供は他人でも叱ることが大事。若い人に任せることも一つの考え。

Q:マンションの遊び場で「ボール遊び禁止」は良いことか?
A:規模によっても違うし、リスクの感じ方も人によって差がある。顔が見えると許容度も違ってくる。

(記録担当:中西博)

  廣田代表の進行 藤代 賢吾氏 プレゼン 
 青柳 聖真氏 プレゼン 佐々(つがやす)亜紀氏 プレゼン