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2012.03.15 | マンション生活と高齢化問題 〜長く住み続けられるコミュニティづくりとは〜 |
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資料 (資料は、公開用のものです) |
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マンション生活と高齢化問題 〜長く住み続けられるコミュニティづくりとは〜 最初に出席者の簡単な自己紹介を行った。これから避けて通れない高齢者問題に対して、部屋一杯、34名の参加者があり、管理組合役員、マンション管理士、管理会社、マンション向けITサービス会社勤務等多彩な顔ぶれであった。 講師の吉村直子先生は、株式会社長谷工総合研究所の主任研究員で、家政学部住居学科を卒業されたとのこと。学生時代より民間の老人ホーム等へ出入りし、今は高齢者居住の研究をされている。 パワーポイントの資料が綺麗によくまとめられており、かつ、流暢に話を進められた。住み慣れた地域で長く住み続けるために、即ち、地域で生活者がどう支え合っていくかという観点で、「マンションでの高齢者支援」と「住み替え先としての高齢者住宅」が本日のメインテーマである。 1.わが国の高齢化の状況 日本の「人口推移と将来推計」、「人口ピラミッドの変化」、「都道府県別の高齢者人口」などの統計グラフをもとに、「介護保険市場の動向」を加味しながら、 1)今後の高齢化問題は、大都市部でこそ深刻! 2)80歳以上から要介護認定率は、約3割と急上昇! ということを強調された。また、現在病院での死去は8割、今後死者数は急増するのに、病院のベッド数は増やさない政策から、最期は病院で面倒をみてくれる(死ねる)ということが当たり前ではない病院難民時代がやってくる恐れがある。 2.マンションにおける高齢者支援 居住者を中心に、管理組合、自治会、管理会社、病院、介護保険施設、地域包括支援センター、行政機関、警察署、消防署、地域の連合自治会、新聞・宅配業者などの役割とともに、分譲マンションにおける生活支援ネットワーク例を説明された。 さらに、居住者主導で取り組んでいる、横須賀市における分譲マンションの具体的事例が、色々な写真付で紹介された。特に、「命より大事な個人情報はない」と(かかりつけ病院名、血液型、常備薬等までを含む)極めて詳細な居住者台帳を整備されている事例が紹介され、よくここまでできるものだと驚いた。 3.高齢者住宅に住むということ 「在宅で生活できる」とはどういうことか、「高齢者住宅での生活」を考える人はどういう人かの説明から始まり、地域包括ケアシステムの紹介があり、その中の介護保険施設、居住系施設、賃貸住宅の内容が詳しく紹介された。かつ、自己負担可能額と要介護度に応じた高齢者住宅・施設の体系が、図解により判り易く説明された。 さらに、今後の高齢者の住まいとして期待されている「サービス付き高齢者向け住宅」の位置づけがなされ、その登録制度と登録基準(サービスとしては、安否確認と生活相談が最低条件)の話があった。 国交省は、今後10年間に60万戸もの高齢者住宅の建設を計画しているとの補足説明があった。 4.サービス付き高齢者向け住宅の事例 千葉県内で初めて登録された(千葉市での)事例が、事業スキームとともに、色々な契約に基づくサービスの違いなどを含めて紹介された。 5.長く住み続けられるコミュニティづくり 1)急速に進む高齢化に対応するために 2)在宅の延長での「安心の住まい」整備のために 3)住宅と地域の「自助・互助・共助」で高齢化に対処するという3つの視点で、今後の展望と課題が提起された。 6.Q&A 1)Q:管理組合と自治会との関係において、行政からの情報は自治会に来るだけで、管理組合には渡らない。どうしているのか? A:人事組織的に管理組合経験者がその後自治会役員になるなどにより(管理組合にも情報が伝わっている)。 【補足説明】紹介した横須賀市の分譲マンションでは、同じ住民が管理組合と自治会に加入するため、両組織の理念や方針に違いが生じないよう、管理規約を改正して自治会組織を規約の中に明記したほか、両組織をつなぐパイプ役として兼任理事4名を配置している。 2)Q:サービス付き高齢者住宅は、夜間も見守っているのか? A:見守っている。 【補足説明】24時間有人管理で状況把握(安否確認)、緊急時対応を行っているケースも多いが、夜間人が常駐しない場合については緊急通報システム等により状況把握を行うことが法律で義務付けられている。 3)Q:サービス付き高齢者住宅の登録基準は25u以上なのに、事例では18uとなっているが? A:居間、食堂、台所その他の住宅の部分が高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合、各居住部分の床面積は18uでも良いという基準になっている。 4)Q:ターミナルになったらどう対応するのか? A:紹介した千葉県登録第一号の物件では、ご本人やご家族が建物内での看取りを希望される場合は、医療機関や介護事業者とも連携しながら対応していく。 5)Q:保健所関係者であったが、認知症の症状等により迷惑行為や近隣トラブルを起こす高齢者について、緊急連絡先が判らず、かつ、状況が深刻な場合保健所に頼まれることがよくあった。地域ネットワークの説明に保健所を是非入れておいて戴きたい。 A:今後の説明資料に保健所を付け加えます。 (記録担当:中西博) |
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