廣田信子代表の講演要旨は下記のとおりです。
T.マンションにおける高齢者居住の状況 平成17年の国勢調査と平成20年のマンション総合調査の結果から、全国の65歳以上の高齢者の割合とマンションにおける60歳以上の高齢世帯の割合が40%以上とほぼ同レベルであることがわかります。
U.高齢化による課題 平成19年のマンション管理センターによる調査によると、高経年マンションほど高齢化率が高いという相関関係があることがわかります。 また、「管理組合の運営」のトラブルは、築年数が経過するほど、高齢化率が高くなるほど多い事がわかります。例えば、理事長が高齢化して判断が難しくなったため、80歳で退職いただくことを決議しようにも、理事会でなかなか決議できないという例が紹介されました。 V.マンションにおける高齢者対応 管理組合活動の担い手として、リタイアされた方々は貴重な人材です。しかし、その方々もいずれは高齢化しますが、次の世代を育てるという意識が無いとたちまち管理組合運営に支障をきたすことになります。 高齢者への配慮が必要なことは、一般的に言われていることとマンション生活とあまり相違はありませんが、高齢で近所との付き合い、親戚縁者との付き合いが少ない一人暮らしの男性の場合には、孤独死に繋がる心配があるといわれます。 また、母子の孤立も保育の現場では問題となっていると指摘されました。
W.地域での人と人の「つながり」はどのように生まれるか マンションに住むことは、「つながり」を持ちやすい住み方。でも、何らかの「きっかけ」が無いとつながりを持ちたくても難しい面がありますが、総会や防災訓練に参加する、まはお祭りや理事会活動もきっかけとなります。
X.「コミュニティ」の現状 多くの人は、日常的に深い付き合いは望まないが、困った時は助け合いたいと思っていることが国民生活白書の調査からわかります。また、内閣府の調査では、「困った時に住民で助け合う」ことが望ましいとする人が60%以上あり、普段は深い付き合いが無くとも、いざというときの近隣関係に期待します。
Y.管理組合とコミュニティ形成 マンションに良好なコミュニティがあることは、資産価値の向上に繋がります。そこで、人と親しくなるのが得意な人が、先ずちょっと骨を折ってきっかけ作りをしてみよう!との提案がありました。
Z.マンションコミュニティを考える上で重要なこと 個人の生活に踏み込まない適度な距離感のある、しかも温かい、新たなコミュニティの形もあるのではないかと考えると提案されました。 (これがマンションコミュニティ研究会の設立主旨でもあります)
以上 (まとめ:村澤)
【参加者からの意見】 勉強会への参加の動機
※個人が特定できるような意見は省いています。 退職後、管理組合のお手伝いをしたいが、自分にコミュニケーション・スキルが無いことに気づいた。本日は、勉強するために参加した。 住人たちの交流が乏しいマンションなので、自分自身の勉強のために参加しました。 理事長を経験。頑張りすぎて、「アイツはこのマンションを乗っ取ろうとしている」などとネットにカキコミされたりして悩んでいる。「マンションコミュニティ研究会」は、やろう!と思っている人を支えてくれる会かと思い、参加した。 築35年のマンションにずっと住み続けている。自分も当初若い方だったが、いまは違う。マンション全体が高齢化した。今回のテーマは他人事ではないと思い参加した。 一級建築士という職業柄、ハード面を得意としてきたが、そろそろソフト面も学ぼうと思い参加しました。 区民センターで高齢者への支援ボランティアをしているので情報収集のために参加しました。 マンションの設計の仕事をしている。昨今の「孤立死」の問題を何とかしたいと思っている。いわゆる「請け負いの仕事」なので会社人として出来ることに限界はあるが、このままでは「負の遺産」を増やし続けることになるのではないか?と、焦りと疑問を感じている。自分にできることはないか?今日は会員の皆さんと一緒に考えてみたいと思い参加しました。 マンションは、建物が古くなれば大規模修繕などがある。「ルールを守りましょう」という規約もある。では、人が年をとったときはどうするか。真剣に考えるべきだろう。コミュニティは重要だと思う。コミュニティに興味があったので参加した。
勉強会を終えてみての感想
以上。 (聞き取り:渡辺恭子)