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2013.01.23 「都市居住の多様な未来」
〜マンション再生はコミュニティ再生から〜
 

講師:元高崎健康福祉大学 大学院教授 松本 恭治先生

資料
マンション管理の放棄とその背景
マンション再生はコミュニティ再生から
管理組合崩壊・未結成及び区画数または床面積の半分以上空き経験マンションの一覧
 都市居住の多様な未来
〜マンション再生はコミュ二ティ再生から〜

 参加者の属性によって、講師が話のターゲットを決めやすいということから、参加者の簡単な自己紹介から始まった。管理組合、管理会社、マンション管理士、NHKの生活情報部の記者等多様な顔ぶれで、総勢50名近くになった。特に、首都圏広範囲からのマンション居住者が多いようである。
 講師の松本恭治先生は、厚生労働省から高崎健康福祉大学に転じ、現在松本地域再生研究所を主宰しておられる。今、国や自治体の関心が高い「管理不全マンションをどうするか」という問題に造詣が深く、数多い現場取材から導かれたマンション居住の現状、未来の見通し、管理不全マンションの再生等について内容の濃いお話と豊富な資料の提供があった。

 地方は都心と違って、空室、空き店舗が多いことを実感、ここからマンションの崩壊が始まっていく。また、管理組合の努力とは関係なく、築年数でマンションの価値が決まる。管理会社に相手にされないマンションもある。
 数多くの写真により、崩壊マンションの事例が紹介された。そのキーワードは、単身化、匿名(表札がない)とのことである。ゴミがゴミを呼ぶ中で、ある日突然きれいになったマンションがあった。何故か、管理組合が結成されたとのことであった。また、マンション再生の第一歩は、機械式駐車場を撤去することだとのユニークな解説があった。

 次いで、どういう社会を作ろうとしたのか、歴史的背景の紹介があった。中庭から各戸へ入る、これがコミュ二ティの原点ではないか。同潤会アパートもこのスタイルである。地域社会をどう作るか、旧住宅公団もそれに取組んで、建物の形態を考えたこともある。

☆ コミュニティ形成とはなにか
 郊外は家族世帯が多いが、東京特別区では単身者が多い。当然コミュニティ形成の基盤が異なる。マンションの集会所、広場、緑樹等は可能性を提供するが、出会いが生まれるか否かは住民が決定する。地域全体の良好な関係を築くと同時に、各種ネットワークからの脱落者を極力少なくすることである。
 人間関係に満足している人、友人関係が多い人ほどリフォームしている傾向が見られ、従って永住意識は高いと思われる。

☆ マンション再生とはなにか
 管理不全マンションの主な共通傾向を分析し、再生の第一歩は共同社会意識の再醸成にあるし、基本ルールを再構築するところにあるとした。
 次に、管理の基礎作りのため、他の管理組合から情報を収集し、主としてソフト対策による改善を図る。
 そして、ストックの維持のため、専門家を活用し、老朽化防止対策を講じ、更には、ストックの水準アップによって実感できる形にする。その先には、建替えということになる。将来的には強制収用・解体ということが考えられる。
 管理不全マンションを再生する場合、前述のステップを踏むことになるが、管理組合の意識や状況によっては、一気に強制収用が選択肢の一つになる。

☆ Q&A
 管理組合の機能が低下していた中で、高齢者が立ち上がって、コミュニティが活性化、今やヤクザも恐れる老人懇親会の話は面白かった。
@Q:コミュニティの再生について、楽しいマンションにするために明日からやったら良いことは?
 A:役員手当てより飲み代手当てを出す。
AQ:サークル活動が良いのでは?
 A:SNSのサークルが活かせないか。Face Bookもツールにできるのではないか。

(記録担当:中西博)
松本先生と廣田代表